男女群島 「下の赤瀬」
過去、何度も乗った「下の赤瀬」ですが、ビョーブにあまり良い思い出はありません。
タイドプールだらけの兎に角汚い磯・・・って印象が強いのですが、今回はシケ明けのおかげで、見違える程に綺麗な磯となっていました。

午後7時、高島師匠が「沖の赤瀬」側、yukimaruは「針古」側に釣り座を構えて夜釣りの開幕!
バッシャンバッシャン…時折、ウネリが押し寄せて飛沫を頭から被りますが、これに耐えながら釣りに集中。西側にゴンゴンと流れる上げの流れでは仕掛けがナカナカ落ち着かず苦戦しましたが、満潮時刻を過ぎて潮が緩んだ時間帯にアタリが集中、50cmを頭にオナガを6枚取り込むことができました。

そうして迎えた下げの時間帯。
張り出している根を気にしながら南東側に流れる潮に仕掛けを任せますが、食ってくるのはオナガはオナガでも40cm弱のコナガ君。流星の如くウキが海中に消えるので見てくれは面白いのですが、タックルが強すぎるので釣りの趣が良いハズはありません。仕方なく・・・そんな気の抜けた感じの釣りを続けていると、ナントそのコナガ君にサメが喰らいついてきました。

手にしているタックルはがまかつの剛竿、我夢者5号! 「うおおおりゃぁぁ~」 ・・・っとばかりに真っ向勝負を挑みます。すると、今まで見たことが無い程「我夢者」はヒン曲がりその胴の強さをアッピール。 「これは勝てるか!?」 一瞬、そう思いましたが、それは甘か味噌汁・・・。(笑)
張っていた8号ハリスがその力を支える事叶わずに切れてしまいました。
そんなドタバタ劇を演じていて、後が続く訳はありません・・・。食ってくれていたコナガ君の音沙汰も無くなり、ただただ豪快な下げの本流を流すばかりの釣りとなってしまいました。

結局、夜の部は終了・・・・・。
下げの潮が持続する中、昼タックルの出番となりました。
夜の部の激流はNO GOODですが、昼の部の激流はオナガの期待度が急激に高まります。しかし、運に恵まれず時間帯は既に上げ方向。勢いのあった下げの激流は影を潜め、トロトロと西側に流れを変えていました。何となくイヤ~な感じに苛まれながら放った1投目。ウキは仕掛けが馴染む前に横走りを披露・・・食ってきたのは小型のイスズミでした。

仕掛けを放り込む度に食ってくるイスズミ君と小型のオナガ君。
マキエをズラしてもタナを変えてもコヤツらはしつこく食って来ます。沖側に釣り座を構える高島師匠もイスズミ軍団に手を焼いている様子。釣り座の移動も意味が無さげだったので、そのままダラダラと釣りを続けていると、足元に巨大な魚影がウロウロするようになりました。
「何じゃろ!?」 帽子を深く被り海中を凝視・・・ナントその正体はジョーズ!でした。
昨夜ハリ掛りした口の痛みの仕返しに来たかのように我が足元から離れようとしません。
「イスズミの次はサメかい・・・・・。」 (´Д`;)/ヽァ・・・
流石にこれでは釣りにならないので、「下の赤瀬」の撤退を決定。荷物を纏めてブラックカイザーの朝の見回りを待つ事になりました。

我夢者の副作用・・・
夜釣りでは通例のタックルですが、翌日の昼に乗った磯は足場が高く、けっこうなウネリが残っていたので、60オナガでもブリ上げ可能な「我夢者」の出番となった訳です。タモ入れ不要なら手返しの面でも有利ですし、不用意に磯際に立たなくても済むので、何よりも安全に釣りができます。 「これよ…これこれ!」 本流の中で少々の大きさの尾長が食ってきても、うおおぉりゃぁ~のかけ声一発で磯上に横たわる尾長君…。気分良く釣りが進んだのは言うまでもありません。

しかしながら、この豪竿を30時間余りも振りまくるにはかなりの体力が必要で、50オーバーの我が身体にはかなり過酷な釣りとなってしまいました。釣ってる最中は全く気にならなかったのですがね・・・。釣りを終えた途端、腕と腰にドーンと強烈な疲労を感じる事になりました。剛竿を長時間打ち振るうにはそれなりの覚悟と体力が必要…ですね。

3月の男女群島
例年の3月、天気は安定するのですが、突然にやってくる冷水塊の影響も大きく、1日違いで釣果が激変する事もよくあります。今回の遠征・・・まさにその通りだったようで、夜釣りにおいてはサシエすら取られない磯も多かったと前田キャプテンに聞きました。私の乗った磯ではハタンポにキンギョとエサトリ満載で賑やかでしたが、夜釣りにおいてウオの活性が悪かったら、釣り人の活性も正比例して一気に急降下となってしまいます。それで益々ヤル気が削がれ、釣れない輪廻に陥る事になるのですが、そんな時、何らかの違う楽しみを持っていると、少しはヤル気に良い影響が出るかもしれません。サムソンホテルの営業部長兼ポーター役の相川さん曰く・・・・・
「色々な釣りが出来る道具を持って来らんば・・・・」
色々にも程はありますが、ショートロッド1本とワームの類があれば釣りの楽しみの幅は大きく広がります・・・。

趣味である釣りは楽しくなければイケません。
釣れない時の気分転換の上手さも釣りの技量のうちかもしれませんね。

男女群島再遠征 3日目
「yukimaruさ~ん 行きましょう!」
意外にも中ノ瀬戸から出る前に声が掛かり、ブラックカイザーがホースヘッドを押し付けたのは、昨夜の晩、お世話になった「吉田の3番」の隣磯である「吉田の4番」でした。
「明日の朝はヘリオスが来ますから…」
山見船長はマイクでそう告げると、ブラックカイザーの船首を女島に向け走り去って行きました。
まだ明るい時間帯ですので、昼釣りを続けるべきなのですが、降り続く雨が容赦なくヤル気を削いでくれるので、再び竿を持つ気にはなれません。結局、ブルーシートで簡易テントを張り、その中に逃げ込む事に・・・。小降りになったら釣ろう!・・・そう思っていたのですが、夕食に用意したアツアツのおでんを食べ、暖かいストーブで暖を取ったらもう最後・・・とても冷たい雨の中で竿を振る気にはなれず、そのまま寝袋の住人となってしまいました。


午前4時・・・起床
雨にもメゲずに竿を振っていた高島師匠に状況を聞きますが良い返事は返ってきません。もっと寝ていたい気分でしたが、ヘリオスの見回り時に寝ていてはカッコが悪いので、寝袋からゴソゴソと這い出して防寒着を着込みます。すぐに釣りをする気にはならず暫しの間、ボー・・・っと佇んでいると、轟音と共にブラックヘリオスが来磯。弁当とエサを受け取りながら海の状況を聞いてみると、北東風が強くなるけども昼までは大丈夫だろうとの事でした。
「昼頃に来ま~す。荷物を纏めとってくださいね・・・。」 ・・・と南船長。
ブラックヘリオスを見送り、温かい弁当をいただきます。弁当を食べ終わった頃には、辺りも白々と明けてきたので、ブルーシートを片付けて昼用タックルの準備に掛かりました。


今は上げの時間帯。ヨレを伴った豪潮が西にゴンゴンと流れているので、昨日の「荒磯かぶり」と同じタックルを組上げます。そして、タックルが組み上がったところでマキエを撒いて久しぶりとなる釣りを再開。中ノ瀬戸の潮流に仕掛けを放り込んでみます。2日続けての本流釣りにワクワクしながら、パラパラと出て行く道糸を見送っていると、20m程度流れた所でバリバリバリ~! お決まりとなった本流アタリに興奮しながら合わせをくれて戦闘開始!しつこくしぶとい引き味は尾長のそれで、強い潮流も手伝ってか簡単には寄ってきてはくれません。
「これでもかっ・・・!」 尾長の名前を冠した竿を更に大きく引き絞りウオとの間を詰めていきます・・・。すると流石のウオも参ったとばかりに足元まで寄ってきました。

潮流豊かな「吉田の4番」の破壊力は相当なモノで、その後もウオは順調にHit!
昨夜のサボリを取り返すかの如く、ドンゴロスは次第にその膨らみを増していきました。



11時50分 ブラックヘリオスが見回りにやって来ました。夕刻までここ「吉田の4番」で出来ないかと聞いてみましたが、風が北西風に変わってきているので危険との事。昼間っからでもオナガがバンバン当たってくる磯なので、後ろ髪を引かれる思いでしたが、船長の言う事は絶対・・・。残念ですが「吉田の4番」を撤退する事になりました。
次にヘリオスが連れて行ってくれたのは、「シケシラズのハナレ」。
お初の上礁となりますが、何とも表現のしようも無い臭っさいタイドプールのある磯でした。
このタイドプールの臭いだけで我々の戦意は喪失・・・とても夜を過ごす気にはなれません。高島師匠は昨夜の疲れが出たのか竿を納め、マットを敷いて高イビキ・・・。私も寝ようかと思いましたが、まぁ、一投くらいはやってみようと仕掛けを変化の無い海に放り込んでみました。

ウキにアタリは出るのですが、ハリに乗りません。軽い仕掛けに換えてハリを小さくすれば乗るのかもしれませんが、ここは男女! 面倒臭いので、そのまま妖しいアタリをビシバシ掛け合わせていると・・・・・・

正体判明! 流石にこれ以上仕掛けを海に入れる気にはなれず、竿をたたむ事に・・・。
結局、ヘリオスの見回り時刻まで昼寝をする事になりました。

16時50分 ブラックヘリオスがやってきました。
この臭い磯で夜を過ごす気にはなれん事を告げて船に乗り込みます。・・・で、何処に泊まるか・・・って事になるのですが、吹き始めた北西風は15m超! どの風裏の磯も釣り人が入っており、良さげな磯はありません。他のお客の見回りを兼ねて、あちこちの磯を探訪しましたが、泊まりたいような磯は無く、結局、船に泊まろうという事になり、ブラックヘリオスに寝る事となりました。
翌朝には磯に上がる予定で船中泊。南船長、相川さんの造る美味しい料理に舌鼓を打ち、面白い話とビールをたらふく頂いて21時には就寝・・・。翌朝は早くに目覚めましたが、強烈な北西風は昨夜と変わらずビュービュー状態。 結局、その強烈に吹きすさぶ風に心が折れて、完全なるリタイアを決定。そのまま船尾のベッドで田平港まで寝て帰ることになりました。

男女群島産 鯖の味噌煮
夜釣りでの釣果ですが、メダイを思わせるような強烈な横走りで冷えた身体を温めてくれました。

お造りも美味だった事は言うまでもありませんが、この味噌煮が絶品でした。
身がぶ厚いので、かなり強めの味付けとなりましたが、皮と身の境目の脂がタマリマセン・・・。
お酒よりもご飯の一品となりました。

美味しく持ち帰るには、釣った後、エラと腹の処理という難儀な作業がありますが、その作業をするに値する美味感でした。問題は見回り時までの冷蔵ですが、今回はカチコチのオキアミのブロックを冷媒に使用しました。この方法を毎回行っていますが、今回も鮮度に問題は無かったので、このやり方でも良いように思いますが、今回の固体は「抱卵」真っ最中。小型のクーラーに氷を満載して持ち込むって手が良いかもしれませんね。 次回は開いて干物にして持ち帰ろうかと密かに計画中・・・。かの島に行くと、外道に対しても夢はどんどん広がるので困ったものです。

男女群島再遠征 2日目

潮はトロトロと「吉田の4番」方向にヨレを伴って流れており、雰囲気は十二分・・・。プチ本流釣り的に思えたので、足元にマキエを入れ、アンバランスな仕掛けを投入・・・すぐに後追いのマキエをウキの後方に被せます。ユルユルと出て行く道糸を指でセーブしながら仕掛けを張り込み、来るであろう強烈な一撃を待っていると、バリバリバリ~と一気に道糸がスプールから弾け出ていきました。間髪入れずに合わせを喰らわし戦闘体制に入ります。ビックリしたウオは強烈な力で引き回ります。しかし、こちとらのタックルは男女夜用の鬼バージョン。ウオが強烈な力で引いても、その反す刀の反発力は強力でウオは否応なく浮かせられる事に・・・。竿がゴツイのでウオの引き味は良く解りませんでしたが、参った!・・・っとばかりに浮いた魚体の尾っぽには、見事なアディダスマークが見てとれました。 (´Д`;)/ヽァ・・・
これには流石にガックリコン。 タックルを片付けてブラックカイザーを待つ事にしました。

午前8時30分 ブラックカイザーがやってきました。急いで乗込み、「吉田の3番」にさようなら・・・。ブラックカイザーは「吉田の3番」を離岸し、そのまま凪の中ノ瀬戸に突進。
そして、山見船長がマイクで・・・
「荒磯かぶりでヨカかな・・・!?」
勿論、断る理由はありません。
かくして、昼釣りは激流流れる「荒磯かぶり」での幕開けとなりました。

ここ「荒磯かぶり」は一昨年のお昼に乗りましたが、潮流が豊富で昼からでもガンガン尾長が当たってきます。難点は荷物の置場が少ないって事ですが、今回、昼の見回りが無いって事なので、お昼に予定している焼肉セットも船から下ろし、荷物をピトンに括りつけたところでタックルの準備に取り掛かりました。
・ マスターモデル尾長H
・ トーナメント3000SH-LBD
・ サンラインブラックストリームマークX2.5号
・ サンラインブラックストリーム3号
・ 松飛 BB-3B
・ がまかつ 尾長くわせ8.25号

今思えば、「ナメとんかいっ!」 ・・・ってタックル組んで、「SOS」方向に流れる激流に第一投を放り込みます。マキエをパラリとウキの後方に打ち、パラパラと出ていく道糸を指で押さえながら見守っていると、お決まりの道糸がバチバチバチ~の本流アタリ!来るのは分かってまんがな・・・っとばかりに余裕で合わせをくれてやりますが、後がイケません。竿を起こし荷重を竿の胴に乗せたと思った途端にブチっ・・・。仕掛けを回収してみると見事にチモトから切られていました。ハリを飲まれておったか・・・っと再びハリを結んで仕掛けを放り込みます。しかし、次のウオにもヤリトリの最中にバラしてしまいました。これはハリ外れでしたが、要のハリスはザラっザラ。流石にコレではイカン!・・・って事で仕掛けの交換。道糸、ハリスを一気に5号に上げて仕掛けを瀬戸の激流に放り込みます。潮が走る磯なんだから、始めっから太い糸を張っとけよ・・・後の後悔ナントヤラですが、アタリはすぐにあり、ガチンコのヤリトリに屈したのは45cmクラスの尾長君でした。

その後も激流の住人は順調にHIT! ドンゴロスの膨らみも徐々に大きくなっていきましたが、激流の住人1尾1尾に対する体力消費は相当なモノで、お昼を迎えた頃にはヘロヘロに・・・。
最近は釣りより重き(?)を置いているアウトドア。焼肉を楽しむには狭い磯ですが、ビール片手にあーだこーだと話しは尽きません。今回は一口サイズに刻んだキャベツをジップロックに入れて持ち込んだのですが、これが大当たり。 「焼くより生ぢゃ~」 ・・・っと二人でボリボリと貪り食う事になりました。野菜類の類も小分けにして現場に持ち込むのがコツですね。

肉と野菜でスタミナの補給を終えたところで、元の釣り座に戻って釣りを続けます。下げの激流はその勢いを増して「SOS」方向にゴンゴンとヨレを伴って流れており、足元には巨大なサンノジが見てとれました。マキエを打ち、仕掛けをその激流に放り込んでみますが、一投目は見事な空振り。サシエも綺麗な形で戻ってきたので、おそらくタナが取れてないのでしょう。同じような状況が数投続いたので、ハリスにBのガン玉を追加してみる事に。過負荷となった仕掛けを張りながら激流に馴染ませます。すると、一発で魚からの反応をキャッチ。「往生際悪し」 で上がってきたのは目寸40cmの尾長君。過負荷が正解となった仕掛けいじりですが、この後も飽きない程度に魚からの反応はあり、ドンゴロスは徐々に自立するようになりました。

午後4時、ブラックカイザーが「荒磯かぶり」にやってきました。ポツポツと降り出した雨に一抹の不安を感じていましたが、今夜の海は荒れるとの事。足場は悪く寝る場所など皆無のこの「荒磯かぶり」ですが、昼の展開を考えると、夜なら更に尾長の数は出そうな感じ・・・。そう思うと未練はありますが、荒れると解って「荒磯かぶり」には居られません。ブラックカイザーに乗り込み、他の磯の客を回収しながら今夜の宿を探す事になりました。

男女群島の幸を喰らう!
クチブトに比べるとキメの細かい身は、良質な脂をタップリと含んでとても美味しくいただけました。男女群島のクロは美味しくないとよく言われますが、私はそうは思いません。やはり、絶海の孤島で長時間、過ごす苦労をしているからでしょうか・・・。(笑)

そんな美味しい尾長の身ですが、画像の下部に写っている身には遠く及びませんでした。
色合いはよくありませんが、King of 青物 のお造り・・・。 V(`∇´)V
鮮度を保って持ち帰るには、かなり神経を遣いますが、このお造りに勝る美味はそう多くないのではないでしょうか・・・。舌の上でとろける脂身とはまさにこの事。少々の手間は掛かっても丁寧に持ち帰りたい魚ですね。
